「せっかくオーダースーツを作るなら、良い生地で、格好よく」
そう考えて、生地見本を眺めるところから始める方は少なくありません。もちろん、それも楽しい時間です。
ただ、私はご相談をいただいたとき、生地をお見せする前に、まずいくつかの質問をさせていただきます。なぜなら、ここを決めずに作ったスーツは、どんなに良い生地でも「出番の少ない一着」になりやすいからです。
今回は、オーダースーツを作る前に決めておきたい3つのことをお伝えします。
生地を選ぶ前に、
目的を決める。
1. どんな場面で着るのか
最初に決めたいのは、そのスーツをいつ、どこで着るのかです。
毎日の商談で着るのか。株主総会や登壇など、ここ一番の場面で着るのか。会食や交流会で、少しやわらかい印象を出したいのか。
場面が変われば、選ぶべき生地の厚みや色、柄の強さ、シルエットまで変わります。たとえば週に何度も袖を通すなら、見た目だけでなく、シワになりにくさや丈夫さも大切になります。
「何となく1着」ではなく、「この場面のための1着」。ここが定まるだけで、スーツ選びはぐっとシンプルになります。
2. 誰に、どんな印象を届けたいのか
次に考えたいのは、そのスーツを見る相手のことです。
スーツは、自分のための服であると同時に、相手へのメッセージでもあります。信頼感を伝えたいのか、親しみやすさを伝えたいのか、経営者としての風格を示したいのか。
同じネイビーのスーツでも、生地の光沢、ストライプの有無、ボタンや裏地の選び方ひとつで、相手が受け取る印象は大きく変わります。
私が前職のリクルートで求人広告をつくっていたときも、最初に考えるのは「誰に届けたいか」でした。スーツもまったく同じです。届けたい相手が決まれば、選ぶべきものは自然と見えてきます。
3. 今ある服と、どう組み合わせるのか
3つ目は、手持ちの服との組み合わせです。
新しいスーツが素敵でも、合わせるシャツやネクタイ、靴が手元になければ、結局いつも同じ着こなしになってしまいます。反対に、今あるワードローブとの相性を考えて作れば、1着で何通りもの装いが生まれます。
ご相談の際には、普段どんなシャツや靴を合わせているかも、ぜひ教えてください。足りないものを無理に買い足すのではなく、今あるものを活かしながら全体を整えることで、余計なコストも抑えられます。
目的が決まれば、細部は自然と決まる
この3つが曖昧なまま作ると、「良いスーツなのに、なぜか着る機会がない」ということが起こります。
逆に、場面・相手・組み合わせの3つが決まれば、生地も、ボタンも、裏地も、ポケットの形のような細かなディテールも、迷わず選べるようになります。
お客様はスーツのプロではありません。だからこそ、この「目的を決める」部分を一緒に整理し、そこから最適な一着をご提案するのが私の仕事です。
まとめ
- どんな場面で着るのか:頻度とシーンで、生地やシルエットが決まる
- 誰に、どんな印象を届けたいのか:相手が決まれば、色や柄、ディテールが決まる
- 今ある服と、どう組み合わせるのか:着回しを考えれば、1着の価値が何倍にもなる
初めてのオーダースーツでも、この3つを意識するだけで、満足度はまったく違うものになります。
「何から考えればいいかわからない」という方も、ご安心ください。Gemma.では、最初のヒアリングで一緒に整理するところから始めます。
私がスーツづくりで大切にしている考え方は、「スーツは、目的から作る。」の記事でもお話ししています。あわせてお読みください。
株式会社Gemior 『Gemma.』
代表取締役 木村昌弘
